この記事は

  • 2026年7月28日の熊本地震を受けて、世界から届いた言葉を集めた記録です。 被害の速報ではなく、「心配してくれている人がこれだけいる」という事実のほうを残します。

  • 引用はすべて実際に公表・報道されたもの に限り、出典を付けました。SNSの反応を創作して載せることはしていません。

  • 記事の最後に、いま確認すべき公式窓口 (義援金・支援団体・デマへの注意)をまとめています。

熊本で大きな地震がありました。夜が明けても余震は続いています。

この記事に書きたいのは、ひとつだけです。熊本の揺れは、熊本だけで受け止められているわけではありません。心配している人が、国内にも海の向こうにも、たくさんいます。

まず、起きたこと

2026年7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生しました。気象庁マグニチュードは7.1、熊本県宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測しています。有明海・八代海には津波注意報が発表されました。

政府は発生直後に官邸対策室を設置し、高市早苗首相は被害状況の把握を指示。緊急災害対策本部の設置と、自衛隊約3,600人の災害派遣を表明しました。首相は会見で、被災した全ての方々へのお見舞いとともに、同程度の地震に1週間ほど注意するよう呼びかけています。

数値が報道によって違う理由

気象庁はマグニチュード7.1、米国地質調査所(USGS)は モーメントマグニチュード6.8 としています。算出方法が異なるためで、どちらかが誤りというわけではありません。海外メディアの記事で「6.8」と書かれていても同じ地震です。

被害の数字は、確認が進むにつれて変わります。最新の情報は気象庁と首相官邸の災害情報ページで確認してください。

台湾から、日本語で届いた言葉

発生から数時間のうちに、台湾の頼清徳総統がSNSに日本語で投稿しました。

熊本県で先ほど発生した強い地震を受け、台湾の人々を代表して心よりお見舞い申し上げます。台湾と日本は苦難を共に乗り越えてきた真の友人です。私たちは現地の状況を注視しており、必要な支援があれば、いつでも協力できるよう準備を整えています。被災地の皆様のご無事を心よりお祈りしています。

翻訳ではなく、最初から日本語で書かれたメッセージでした。「必要な支援があれば」ではなく「いつでも協力できるよう準備を整えています」と、すでに動き始めていることまで書かれています。

台湾メディアも発生直後から特設ページを立ち上げ、速報を続けました。10年前の2016年、そして2011年の東日本大震災のときと同じように、真っ先に手を挙げてくれた場所のひとつです。

救助隊は、4時間以内に出られる状態でした

台湾の劉世芳内政部長によれば、複数の救助隊がすでに待機状態にあり、日本側から要請があれば4時間以内に出発できると表明していました。

内政部消防署は国際人道救援メカニズムを発動し、署直轄の特種捜救隊(特別救助隊)と、待機当番だった台南市・嘉義県・新竹市の各消防局で救援体制を組んでいました。

「準備を整えています」という総統の言葉は、比喩ではありませんでした。人と装備が、実際にその状態で置かれていたということです。

言葉が、お金になりました

7月31日、台湾の外交部が500万台湾元(約2500万円)の寄付を決めました。あわせて8月1日から31日までの1か月間、被災地支援のための募金専用口座を開設します。集まった寄付は日本側を通じて被災地へ届けられます。

林佳竜外交部長(外相)は、こう述べています。

台湾は一貫として日本の友人と共にあり、必要があれば、台湾は喜んで支援の手を差し伸べ、日本と困難を共にし、被災者支援と復興に共に取り組んでいく

さらに、頼清徳総統、蕭美琴副総統、卓栄泰行政院長が、それぞれ20万台湾元(約100万円)を私費で寄付しました。国の予算とは別に、個人の財布から出したお金です。

動いたのは政府だけではありません。7月29日には台湾の大手コンビニ3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ハイライフ)が寄付金の募集を始めました。8月末まで店頭のマルチメディア端末で受け付け、セブン-イレブンとファミリーマートはアプリからも手続きできます。スーパー最大手PXマート系の決済サービスでも寄付を受け付けています。

台湾でコンビニに寄る人が、レジの端末で熊本に送金できる状態になっている、ということです。当局と企業の寄付表明が相次ぎ、義援金やメッセージを送る活動に多くの市民が参加していると報じられています。

背景には、半導体企業の進出で結ばれた熊本と台湾のつながりがあります。工場ができ、人が行き来し、名前を知っている土地になった。だから揺れたときに、他人事にならなかった。

発生から3日で、「準備を整えています」が実際の金額と口座になりました。お見舞いの言葉は、社交辞令で終わるとは限りません。

インドからの連帯表明

インドのS・ジャイシャンカル外相も、日本政府と日本国民への連帯と支援を表明しました。「日本の熊本県を襲った地震のニュースに深く心を痛めている」「被災された方々の安全と復旧を祈っている」という趣旨の投稿で、日本の外務大臣にも言及しています。

政府間の外交メッセージという形ですが、書かれている中身は「無事でいてほしい」という、ごく素朴な願いです。

世界のニュースの一番上に、熊本があった

海外メディアは一斉に速報を打ちました。CNN、NBC、NPR、The Japan Times、Boston Globeなど、日本のニュースが普段はトップに来ない媒体が、ライブ更新で熊本を追い続けました。

  • 中国のSNSでは「日本地震」が検索ワード1位になりました。
  • 韓国では、九州の揺れを感じた人からの通報が700件超寄せられました。
  • 台湾の自由時報は、発生直後から特設ページで速報を続けました。

これは「注目された」という話ではありません。海の向こうで、その日の一番気になることが熊本だった人が、それだけの数いたということです。訪日経験のある人、九州に友人がいる人、半導体産業の関係者、ただ日本が好きな人。理由はばらばらでも、画面の前で同じことを願っていました。

国連が「支援の用意がある」と表明

国連のハク事務総長副報道官が、7月28日の記者会見で熊本の被災者へお見舞いを述べました。

心からお見舞い申し上げる

そのうえで「地震により危険にさらされている人々がいることはよく承知している」とし、必要に応じて支援を行う用意があると表明しています。

日本は支援を受ける側というより出す側に回ることが多い国です。その日本に対して国際機関が「用意がある」と先に言った、という順番に意味があります。

25の国・地域と国際機関から届きました

外務省の集計が出ました。7月29日午後1時の時点で、少なくとも23の国・地域と2つの国際機関が、日本政府へお見舞いのメッセージを送っています。

米国、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、インド、フィリピン、トルコ、エジプト、イタリア、台湾、ブラジル、パレスチナ、ベネズエラ。国際機関は国連と国連大学です。並べてみると、地域も、日本との距離も、普段の関係の濃さもばらばらです。

この中に、ベネズエラがあります。ベネズエラは6月の地震で5000人以上の死者を出した国で、そのとき日本から医師らが派遣されました。自分の国の被災からまだ2か月も経っていない場所から、お見舞いが届いています。

助けた側と助けられた側という関係は、意外なほど早く入れ替わります。

数字はこれからも増えます。7月30日、茂木外務大臣が各国へのお礼のメッセージを発出しました。

現在、多くの国の外務大臣を含め、世界中の皆様から温かいお見舞いと連帯のお言葉を頂いています

そのうえで「これまでに多数の国や国際機関などからの支援の申し出を頂いています」とし、現地のニーズを見極めながら支援の形を検討していく、としています。受け取る側が「ありがとう」を返す段階に入りました。

以下は、その中で内容まで確認できたものです。

EUのフォンデアライエン委員長は、こう述べました。

すでに多くの尊い命が失われた壊滅的な地震を受け、日本の皆様に心よりお見舞い申し上げます

そのうえで「瓦礫の中で依然閉じ込められている人々を救うために休むことなく活動している救助隊の皆様にも思いをはせています」と、いま現場にいる人たちに言及しています。

フランスのマクロン大統領も、7月29日に投稿しています。

日本が直面した試練に対してフランスは日本の皆様と深く結束していくことを表明します

「私たちは、犠牲者の方々、そのご家族、そして命を救うために動員されているすべての人々に心を寄せています」と続けています。EU委員長と同じく、いま現場で動いている人たちに触れているのが共通しています。

イタリアのメローニ首相も投稿しました。

日本国民の皆様に心よりお見舞い申し上げます

「この災害に見舞われたすべての方々、救援活動に休むことなく尽力されている方々に、心を寄せています」「友人である高市早苗総理大臣と日本国民の皆様に、イタリア政府を代表して連帯の意を示します」と続けています。

ほかにも、次の国・地域から表明がありました。

  • クロアチア(欧州):外務・欧州省が日本との連帯を表明し、お見舞いを示しました。
  • カナダ:アニータ・アナンド外相が「被災した日本の人々に思いを寄せる」と表明しました。
  • パキスタン:イシャク・ダル副首相兼外相が「この困難な時期に日本と連帯する」と述べました。
  • 米国:国務省の報道担当者が「米政府は現地の状況を注視している。被災者にお見舞いを申し上げる」と述べ、日本政府と連絡を取り対応する用意があるとしました(7月29日時点で日本からの支援要請はなし)。グラス駐日大使も「米国は、必要とされるあらゆる支援を提供できるよう、準備を整えている」と投稿。議会からはタミー・ダックワース上院議員がお見舞いを表明しています。
  • インド:ジャイシャンカル外相に加え、在福岡インド総領事館もお見舞いを表明しました。
  • 中国:外務省の毛寧報道局長が7月29日の会見で「犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに、ご遺族および負傷された方々に心よりお見舞い申し上げます」と述べました。
  • 韓国:李在明大統領が日本語を添えてSNSに投稿し、「突然の災害により生活の基盤を失われ、厳しい状況に置かれている皆様に心よりお見舞い申し上げます」と述べました。犠牲者の冥福を祈り、負傷者の早期回復と、行方不明者が家族のもとへ帰ることを願う言葉に加え、「日本政府と国民が力を合わせ、早期に復旧・復興を成し遂げることを心より祈念申し上げます」と結んでいます。
  • ウクライナ:ゼレンスキー大統領が7月29日に「心が痛んでいる。高市総理と日本国民に心からの哀悼の意を捧げる」と投稿しました。

ウクライナは、いま自国が戦時下にあります。その国の大統領が、地球の反対側の地震に「心が痛んでいる」と書いています。

クロアチアは人口400万人ほどの国で、九州から1万キロ近く離れています。日常的に日本のニュースを追っている国ではありません。それでも外務省が声明を出したということは、誰かが「これは放っておけない」と判断したということです。25という数字の一つひとつが、そういう判断です。

そのうえで、欧米側で実際に起きていることは、報道の扱いにも表れています。

  • 米国:CNNが熊本のライブ更新ページを開設。NPR、NBC、Boston Globeが速報を出しました。
  • 英国・国際メディア:The Japan Times、Al Jazeeraが被害と救助の状況を継続して伝えています。
  • 各社ともイオンモールの倒壊と閉じ込め、そして約30万人の避難を軸に報じています。

米国の朝、欧州の未明という時間帯にこれだけの速報が並んだということは、その時間に起きていた記者とデスクが、熊本を最優先の一報として扱ったということです。

10年前の欧米は、こう動きました

2016年の熊本地震では、在日米軍がオスプレイで物資輸送 を行いました。外務省がまとめた142の国・地域のリストには、欧州各国も名を連ねています。今回も同じように動くとは限りませんが、 過去にどう動いたかは記録として残っています。

10年前、142の国・地域が手を挙げた

外務省の記録によれば、2016年の熊本地震では142の国・地域、および30の国際機関からお見舞いが寄せられました。

韓国からはレトルトご飯や飲料水など総額10万ドル相当の支援物資が届き、在日米軍はオスプレイによる物資輸送を行いました。国の名前を並べたリストは、外務省のページに今も残っています。

今回の分はまだ集計中です

外務省が公表している「各国・地域等からのお見舞い・支援」のページは、執筆時点では 2016年の熊本地震のもの です。2026年分は今後まとめて公表される見込みです。つまり、いま見えている台湾やインドの声は、これから積み上がるリストの 最初の数行にすぎません。

熊本の中でも、誰かが誰かを助けている

熊本大学特任助教のアンドリュー・ミッチェルさん(41歳・英国出身)は、自身も被災した直後に、外国人向けに英語で「熊本で大きな地震がありました」と発信しました。留学生のLINEグループでも注意を呼びかけています。

ミッチェルさんは10年前の熊本地震で被災した経験から、留学生仲間と外国人のための防災を考える団体「KEEP」を立ち上げた人です。10年前に助けられた側だった人が、今回は最初に情報を出す側に回っている。熊本という土地に積み重なったものが、そのまま次の災害で誰かを守っています。

震度6強を観測した八代市興善寺町では、地震の直後、倒壊した住宅からひとり暮らしの女性が救出されました。瓦礫をかき分けたのは、5人のベトナム人の若者と地元の住民です。「がんばれ」と声をかけ続けながら助け出す様子が映像に残っています。

外国人は、助けられる側とは限りません。その日その場にいた人が、できることをしただけです。

7月29日には、熊本市国際交流会館が外国人被災者を支援する多言語支援センターを開設しました。同会館は避難所にもなっていて、多言語での対応ができます。運営は熊本市国際交流振興事業団です。日本語の防災情報が届きにくい人にとって、こうした窓口がどこにあるかは生死に関わります。

国内でも、熊本出身の俳優・橋本愛さんが約1か月ぶりにSNSを更新し、「胸が痛みます」「皆さんの命が守られますように」と投稿しました。

いま確認してほしい窓口

義援金・支援

熊本県は7月29日から、日本赤十字社は7月31日から、義援金の受付が始まりました。 どちらも受付期間は10月30日までです。集まった義援金は全額、熊本県の義援金配分委員会へ送られます。

熊本県は県庁や各広域本部・地域振興局、東京・大阪・福岡事務所の計14か所に義援金箱を設置しています。日本赤十字社はゆうちょ銀行・郵便局と、三井住友・三菱UFJ・みずほの各銀行で振込を受け付けています。日赤への入金までに時間がかかるため、クレジットカードでの受付はしていません。

振り込む前に必ず確認してください

受付が始まった直後は、偽の募金口座や詐欺サイト がもっとも出回るタイミングです。口座番号や振込先は 必ず上記の公式ページで直接確認 し、SNSやメールで流れてきた口座情報をそのまま使わないでください。この記事にも口座番号は載せません。公式ページの情報が唯一の正解です。

デマへの注意

発生当日から、SNSでデマの拡散が確認されています。過去の災害の映像を今回のものとして流す、生成された偽画像を投稿する、といった事例が繰り返されてきました。

確信が持てない情報は拡散しない。 これは被災地から離れた場所にいる人ができる、最も確実な支援のひとつです。救助や安否確認のリソースを削らないために。

余震への備え

首相と気象庁は、同程度の地震に1週間ほど注意するよう呼びかけています。気象庁は「1週間程度は最大震度7、特に発生から2〜3日は強い揺れの地震が発生することが多くある」としています。2016年の熊本地震では、最初の地震の28時間後により大きな地震が起きました。いったん揺れが収まっても、建物の中に戻る判断は慎重にしてください。

暑さと断水

真夏の被災です。熊本は猛暑日となり、熱中症対策の徹底が繰り返し呼びかけられています。簡易型クーラーの第1便が高齢者施設などに届き始めました。

停電と断水も続いています。断水した地域では、水分をとること自体が難しくなります。避難所と給水の場所は日ごとに変わるため、熊本県のライフライン・災害関連情報とNHKの災害情報で最新のものを確認してください。地震そのものより、そのあとの暑さと水で体を壊さないでほしいです。

最後に

災害の記事は、たいてい失われたものを数えます。この記事では、逆のものを数えました。

日本語でメッセージを書いた総統がいて、連帯を表明した外相がいて、支援の用意があると言った国際機関があって、検索ボックスに「日本地震」と打ち込んだ何百万人がいて、10年前に助けられた留学生が今度は情報を出す側に回っていて、義援金の窓口に列ができています。発生の翌日には、25の国・地域と国際機関が名乗り出ました。10年前は142です。今回もまた、リストは長くなっていきます。

いま、水も電気も足りず、余震のたびに体がこわばる場所にいる方へ。その状況は、世界のかなり多くの人に見られていて、心配されています。それは今夜の寝床を用意してはくれないけれど、ひとつだけ確かなことを教えてくれます。

熊本は、ひとりで揺れているわけではありません。

この記事について

2026年7月29日の公開時点で公表・報道されていた情報を中心にまとめ、その後に確認できた内容を追記しています。引用は 実際に発表された声明・投稿・報道に限り 、SNSの反応を創作して掲載することはしていません。被害の数字や支援窓口の情報は時間とともに変わります。行動する際は、必ず末尾の一次情報リンクで最新の状況を確認してください。